「服部殿」
「・・・これはこれは。甲賀忍の里長直々の来訪とは珍しい」
「先日『伊賀ずきん』が出ていったとか」
「お聞きになられたか」
「ええ、うちの子たちから。ずいぶん厳しくされたようですな」
「・・・最初からこうなるとわかっておった。あやつは忍には向かぬ」
「あなたにはやはり敵いませんな」
「ほう?」
「私もできることなら、あの子たちを日の光の下で育ててやりたかった」
「・・・植物全てが陽光を欲するとは限らないであろう」
「わかっています。これがあの子たちの望みなのだと」
――俺は名前に添って、出雲守様を支えられるようになります。
――お師匠様、私は誰より強くなりたいんです。だからここにいさせて下さい。
「私にできることは、せめて心を失くさぬようにと務めてやることだけ」
「甲賀と伊賀の違いはそこにある。そしてそれでよい」
――心を持ち、腕の中に守るか。
――心を捨て、穢れを避けるか。
里長が選んだ術は異なれど
根を成す想いに差異はない
「あの子たちがいつかたどり着く『答え』が、あの子たちにとっての最善であればよいのですが。
願わくば・・・彼女と同じように」
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