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とてもじゃないが表に置けない痛さ炸裂の雑文をどうにか供養するために設けた墓場のような場所。
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彼女に会ったのは、仲間内で「城郭千図解」が話題になったとき。忍び込みの得意な自分が名だたる忍家である伊賀に潜入したときのこと。

予想よりはるかに楽だなと忍び込んだ直後、「伊賀ずきんへ」と書かれた書き置きに里長の不在を知り、そしてその内容が書庫の整理と重なればこれは怪しいと書棚を物色する。
しかし膨大な蔵書をひとつずつ調べても目的のものは見つからず、ほかの可能性を探ることになる。

書き置きにあった「伊賀ずきん」という明らかに人名ではない呼称――そこに最高価値を誇る鉱物名が隠されていると気がついた自分は、この里で里長並に重要であろうその人物を待つことにした。
「ゴールド」というその人を。

息を殺して本棚のかげにひそみながら日が暮れて太陽は沈み、月が昇り夜は更けた。まだ見ぬ「ゴールド」がどれほどの腕前なのかはわからないが、首尾よくことを運ばなくてはならない。里長不在という千載一隅の機会、今宵を逃してはならない。
そうして気を張り詰めていたにも関わらず、薄暗くほこりっぽい部屋へようやく現れたのは、自分とたいして歳の違わない少女だった。それと同時に自分の目に跳びん込んで来たのは大事そうに抱えられたひとつの巻物――

それからのことはあまり思い出したくない。
あの夜が、あの終わりの見えない復讐劇の始まりだったから。

・・・振り返れば、ひどいことばかりしてきた。
銃殺・毒殺・社会的抹殺・呼びだしリンチ・謀略――と、今までに試みたことを並べると物騒な単語が延々と続いていく。
だがそれも相手方には全く伝わっていなかったようで、徒労に終わった自分の計画は数えきれない。

極めつけは、あれだ。
どうしてこの私が「友達」…なのだろう。

私が彼女に会いに行ったのは復讐目的以外の何物でもないと断言してみせるのに、彼女はいったい私の何を友人足り得るとした?
聞いてみたい気もするけれど、今思えば聞かないままでよかった気がする。
もし答えを聞いていたら、きっとまたあの夜のようになっていただろうから。

言葉の真意などわからないままの方がいい。
この髪を綺麗と言ってくれた、あの時はそれだけで良かった。
だから、もう思い出さない。
この私を友達と言ってくれた、今はもうそれだけで良い。それだけでいいのだ。


思い出し、矯めつ眇めつ慈しめば、記憶に手垢が付いていく。
それより、大事にしまって存在を忘れて、そのままの姿で消えていく方がずっと綺麗で、貴方好みデショウ?
「ゴールド」だった、少女様。

+ + + + + + + + + +
整理をつけて理由を見つけて気持ちに名前を付けて、明瞭になればなっただけ苦しむだろうから曖昧なままでよかったなぁと思います。(書いてる本人も何言ってるのかよくわからない)

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